モモ <時間泥棒の正体は自分自身>
モモ ミヒャエル・エンデ 岩波書店
どこから来たのかわからない不思議な女の子が灰色の男たちに盗まれた時間を取り返すお話。
作者の後書きには
するとなぞめいた旅行者は、もうひとことつけくわえたのですが、そのことばをわたしは読者にお伝えしなければと思うのです。
「わたしはいまの話を、」とそのひとは言いました。「過去におこったことのように話しましたね。でもそれを将来おこることとしてお話ししてもよかったんですよ。わたしにとっては、どちらでもそう大きなちがいはありません。」
と書かれている。 昔の話ではなく未来の話であることを示唆しているようだ。
この本の初版は1973年、日本語訳は1976年らしい。 読んでみるとまるで30年後を予言していたかのようだ。 気づかないうちに灰色の男たちに時間を盗まれているのかもしれないと思った。
ところで、
日本マイクロソフト マイクロソフトテクノロジセンター長 澤円氏は
とおっしゃる。
現在の「灰色の男たち」とは自分自身のことで互いに他人の時間を奪っているのかもしれない。 物語の中の「灰色の男」と違うのは礼儀正しいことだ。多分悪意もない。
澤円氏のところにバリバリの日本企業からインターンとして派遣されている人がいるそうだ。 澤円氏曰く、
そして続いて言ったのが「会議でみなさん発言されるんですね」です。なんとなくその辺から雲行きが怪しくなってきますね。次の一言が僕の度肝を抜きました。 「私は会議でなにかが決まるのを初めて見ました」。
「はぁ? じゃあ会議でなにするの?」と聞いたら、「その会議に出ている偉い人が喋っているのを一生懸命に聞いてメモをとるのが会議」だと。本当に会議で発言した記憶がないって、僕に言ったんですよ。
う~ん。笑えない。
物語の中では灰色の男たちが会議をしている場面があるが、灰色の男たちはちゃんと発言していた。
我々は、灰色の男たちに時間を盗まれる以前に、どこかに捨てているのかもしれない。
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