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2018年9月19日 (水)

深く考える力 <「賢明なもう一人の自分」は暗黙知のことか?>

深く考える力 田坂広志 PHP文庫

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 第一部は「深く考える技法」について。

 第二部、第三部はForbes JApanに掲載されたエッセイで、田坂広志氏のメールマガジン「風の便り」でも配信されていたり、他の書籍にも掲載されているので、何度も読んでいる文章が多い。

 田坂広志氏は、深く考えるためには「賢明なもう一人の自分」との対話が必要だとおっしゃる。 そのための技法として、

  1. まず、一度、自分の考えを「文章」にして表してみる。
  2. 異質のアイデアを、敢えて結びつけてみる。
  3. 自分自身に「問い」を投げかける。
  4. 一度、その「問い」を忘れる。
  5. 自分自身を追い詰める。

5つの技法を挙げておられる。

 「賢明なもう一人の自分」は思考を文章にするときだけではなく、他人の文章(エッセイ)を読むときにも現れるから、他人の文章を読むことでも、思考を深めることができるうとおっしゃる。 そのための、例題が第二部、第三部のエッセイということだろう。

 若い頃は技術書しか読まなかったった。
技術書の目的は、知識を得ることだが、知っているだけでは食えないので技術を習得する手引書として使っていた。

 ひと年取って技術書以外の本を読むようになると、それまで気付かないことに気づくことが多く、一生懸命覚えておこうとしていた。 しかし、そのうち覚えておくのは無理だということが分かった。

 本を読むまで考えもしなかったことに気がついて、考えたことは、詳細に覚えていなくても、自分の一部になるになると考えるようにした。 それまで知っていたことと融合して暗黙知になるのだろう。

 そう考えると「賢明なもう一人の自分」とは、暗黙知のことかもしれない。

 暗黙知を知覚することは難しいが、深く考えることで、自分の暗黙知に触れて、暗黙知を形式知にできるのかもしてない。

 深く考える技法として書くことは有効だと思う。 また、読むことは、知識を得るという実用な効用の他に、著者の暗黙知に触れるという効用もあるのだろう。

 そして、他人の暗黙知に触れることが触媒になって、自分の暗黙知に触れることができるのではないだろうか。

 知識創造企業(2014/05/13)にあるSECIモデルでは、暗黙知を形式知化する表出化が難しい。 結合化、内面化はITを使って効率化できるが、表出化は個人の能力に頼らざるを得ない。

Seci

深く考える力は暗黙知を形式知にする表出化に有効かもしれない。


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