「オレは聞いてない」 <有効な判断をしていないだけ>
コミュニケーションコストの増加で老化が加速 日経BizGate (2016/10/24)
「会社の老化は止められない」(2016/11/23) の「コミュニケーションコストの増加は止められない」の項を抜粋したもの。 この本は、至極真っ当なことが書いてあるのだが、素直に認められない年寄りは多いと思う。
例えば、
「ほうれんそう」教に毒された管理者が言う「オレは聞いてない」は長く勤めていると一度や二度聞いたことがあるだろう。 しょっちゅう聞いているならその組織はかなり老化が進んでいる。らしい。
冒頭の記事中に「オレは聞いていない」を可視化した図がある。
細谷功氏によると
インフォーマルなルートで重要人物には伝わっているが、組織図上で重要な役割を果たしていると思っている人に伝わっていないというのが図の左下の領域である。この状態になったときに「オレは聞いていない」という発言が聞かれるわけである。
内容より器を重視するのは老化現象のなせるわざで、なおかつ、なぜ連絡が来ないかといえば、「言っても価値がないから」である可能性が高い。
とすれば、本人としては自分の正当性を主張しているつもりでも、実際は「役割にふさわしい仕事をしていない」ということを自ら広める言動になっている。それに本人が気づいていないわけで、このような喜劇もまた老化のなせるわざといってよいだろう。
らしい。
部下の立場で考えてみる
自分で判断しかねる案件があった場合、誰に相談するかというと、有効なアドバイスをくれる人や実質的に判断をしている人など、相談する価値がある人だ。 逆に言うと、誰からも相談を受けない人は、相談する価値が無いと思われているということだ。 細谷功氏の指摘は正しいと思う。
相談する価値がない人は、指摘はするが建設的な意見は言わないことが多いので判断の参考にならない。 なので相談したくないのが本音だ。 ところが、老化した組織は「オレは聞いていない」とスネる者を無視できない仕組みになっていることが多いので、判断には寄与しない無駄な仕事が増えるのは細谷功氏が指摘するとおりだ。
日本のホワイトカラーは生産性が低いと指摘されるのは、このような判断には寄与しない仕事に時間を費やしているからではないだろうか。 働き方を改革するには、判断に寄与しない仕事を止めれば良い。 ITシステムなどを導入しなくて良いからコスパは最高だ。
「オレは聞いてない」の大合唱になるんだろうな。
上司の立場で考えてみる
上司といっても多くの人は中間管理職だから部下の側面も持っている。 「オレは聞いてない」という上司に理解を示す中間管理職は少ないだろう。
理解を示す人は「オレは聞いてない」と言っている自覚症状がある人くらいだ。 それなのに、上司になってポジションが上がると、なぜ「オレは聞いてない」と言い始めるのか?
それは、部下や部署の成果が上がるような意思決定をしていないからだ。 能力を超えるポジションに上がったという事情はあるのかもしれない。
マイクロマネジメント(管理)しかできない者が成果が上がるような意思決定ができないのは組織的に中間管理職にマイクロマネジメントしか求めていないことも原因だろう。
マイクロマネジメントしかしていない中間管理職が急に、部下や部署の成果が上がるような意思決定をしようと思っても難しいだろう。
だから、最初に中間管理職になったときから(なる前から)、部下や部署の成果が上がるような意思決定することを優先しなければならない。
これから中間管理職になる人の立場で考えてみる
中間管理職は上司と部下という2面性があるから、部下の立場として「オレは聞いてない」野郎を黙らせるテクニックは重要だと思う。 「有効な意思決定ができない者は黙ってろ」と正論を言っても始まらない。
しかし、上司の立場として優先すべきは、有効な意思決定をすること、有効な意思決定ができる能力を身に着けることだ。
「オレは聞いていない」と言われないことを優先する世渡り上手な人は将来「オレは聞いてない」という管理職になる可能性は高いと思う。
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「オレは聞いていない」と言われたときに、せめて「コイツアホか」が顔に出ないようにしようと思う。 (^^ゞ
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