ミス撲滅宣言は逆効果、IT職場にはびこる隠蔽体質
ミス撲滅宣言は逆効果、IT職場にはびこる隠蔽体質 日経XTECH (2018/08/23)
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結論は、
インシデントが起きたら、すぐに報告してくれた担当者を褒めるくらいでちょうどよい。「インシデントを発見してくれて、ありがとう」の一言を、上司が部下に言えるかどうかで、現場の雰囲気や体質は全然違ってくる。それがインシデントやヒヤリハットを健全に見える化できる組織風土を醸成する
というもの。
(↑出典:ミス撲滅宣言は逆効果、IT職場にはびこる隠蔽体質 日経XTECH
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00205/080200008/)
インシデントが無くならない原因は
★インシデント発生
↓再発防止検討会
↓個人攻撃される
↓個人のスキル気合に依存した対応
↓ヒューマンエラー発生確率上昇
★インシデント発生
★インシデント発生
↓インシデントではないことを証明する仕事(言い訳)
↓生産性低下
↓ヒューマンエラー発生確率上昇
★インシデント発生
という2つの悪しき負の連鎖が発生している。ループになっているので、通常の問題解決方法でも解決は難しい。
さらに、トップが「インシデントの絶無を期す!!」など言うと
★インシデント・ゼロを組織の目標にする
↓ダブルチェック、トリプルチェック、チェックリストの乱立
↓生産性低下
↓ヒューマンエラー発生確率上昇
★インシデント発生
インデントが減少するどころか、インシデントが発生しやすくなる
さらに、副次的な影響として、隠蔽体質が生まれる。
★インシデント発生
↓インシデントではないことを証明する仕事(言い訳)
↓生産性低下
↓インシデントを報告すると責められる
↓インシデントを報告しない文化が生まれる
★隠蔽体質
悪しき負の連鎖はどこかで断ち切らなければならないから、風土を変えることから始めるのも一つの手段だけど風土を変えるには時間がかかるし抵抗も多い。人は明確な理由は無くても変わることに抵抗するものだ。
経験では、解決策は組織風土改革というと反応がない人が多い。 絵空事のように聞こえるのだろうか。
インシデントを減らす方法を考えてみる。
〇 インシデントがゼロにならないことを全員が認識する。
これが全ての前提だ。 その上で、全員が、全ての階層で役割に応じてリスクを減らすための負担をする。
負担は、金銭、労力、時間、精神的負担など。
〇 全員が負担する
と言えば簡単だ。 しかし、たいてい、リスクを取らない者、負担をしない者が現れる。
- インシデントをゼロにしろという経営者
- 原因追求という名の個人攻撃をする中間管理職
- 効果を考えずヒューマンエラー防止対策を徹底する現場責任者
- ヒューマンエラーを報告しない担当者
など。
リスクを管理してインシデントを減少させるための活動は、目に見えないから、評価もされない活動だ。誰でも、余分な負担はしたくないものだからバックレる輩が出てくる。
たいていは、自分は負担せず体よく部下に負担を強いる。そして、負担が集中する下っ端は上の理解がないから無理だとあきらめてハイリスクな行動をとる。
本当にインシデントを減少させようとするならば、評価されなくてもインシデントを減少させるための負担をする覚悟が必要だ。
〇 リスクを取る覚悟、負担する覚悟
方々で覚悟が必要と説いているのだが、ハイそうですかと覚悟する人も少ない。
全員に覚悟を強いるのは人の言葉より空気の方が重要だ。人は空気には抵抗できないから、「評価されなくてもインシデントを減少するために負担しなくてはならない」という空気ができていれば、リスクを取らない者、負担をしない者を排除する力になる。
では、空気を作るにはどうするか。
〇 それには、組織風土を変えなければよい。
同じ結論になってしまった。
インシデントが減るかどうかは、結局組織風土なんだと思う。
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☆ インシデントを減らそうと言い続ける人
人は安きに流れ、決まり事は形骸化するものだから、インシデント対策もいつしか実効性の無いものになる。そのようなときに「インデントを減らそう」と言い続ける人の存在は重要だ。しかし、誰か特定の個人に頼っていたのでは限界がある。そこで組織風土が重要だ。
鉄道関係者は必ず指差呼称する。組織風土がそうさせているのだ。だから百年以上もの間継続できている。
ウチは鉄道関係ではないけれど、現場にいたころ上司に指差呼称するように指導された。「横着するな」と。当時はそういう組織風土があったのだと思う。
IT関係の職場に移っても、rmやddなどの危険なコマンドを実行するときには、ディスプレイに向かって指差呼称して、深呼吸してEnterを押していた。
最近現場の人に聞くと、指差呼称もしないし、「指差呼称しろ」と言う人もいなくなったそうだ。
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