発達障害 <グレーゾーンを認識する>
発達障害 岩波明 文藝春秋
「発達障害」という言葉はメディアで多く取り上げられるようになってきた。
岩波明氏は、
特に問題だと思うのは、業務におけるパフォーマンスの問題と発達障害を安直に結び付けてしまうことです。もちろん、仕事がうまく進められなかったり、失敗を繰り返したりしてしまう背景には発達障害の特徴が隠れている可能性もあります。しかし、あまりにも拙速かつ無責任に障害を持ち出すことで、働く人それぞれの個性を見極め、能力を活かし、育てるといった社員育成の視点が軽視されてしまうのではないかと危惧されるのです。
とおっしゃる。
「発達障害」という言葉が一般的になっても、サポートできる人が増えたわけではないし、人事が適材適所になるわけでもない。 もっと困るのは、自分がグレーゾーンだという自覚なく昇任した人がクラッシャー上司(2018/05/10)になることだろう。
ASDとADHDの人の能力については
いわゆる「天才」と呼ばれる常人とはかけ離れた能力をもつ人たちは、明確な診断がつくかどうかは別として、発達障害的な特徴を持っていることがかなりの割合で認められる。これは特に自然科学と芸術の分野で顕著であり、ASDの特徴を持つ頻度が高い。
一方で、ADHDの特性を持つ人は、その過剰な集中力により、デザイナー、イラストレーター、小説家などの専門分野において才能を示すことがしばしばみられる。
らしい。
芸術や自然科学には関係ない職場でなくても、調査や研究、プログラミングなど高い集中力が活かせる職場はある。 だからグレーゾーンの人でも高い能力を発揮できる可能性はある。
しかし、経験則ではグレーゾーンの人が高い能力が発揮できるかどうかは運次第だと感じる。
芸術家のように個人で仕事ができる職業ならば人間嫌いのような対人関係構築・維持能力の低さはキャラクタの一部としてとらえられる。 しかし、たいていの職業では対人関係が重要だ。 重要どころか対人関係を構築・維持する能力(対人関係能力)が許容値に入っていなければ、そもそも能力が評価されない。 よく聞く「適材適所」は対人関係能力を持つ者が対象だ。
対人関係能力に着目して特殊能力が発揮できる条件を考えてみた。
当然のことだが、対人関係は人と人との間で存在する。
そして、対人関係を構築・維持できるのは、関係する2人の対人関係能力の総和が閾値を超える必要があるのだと思う。
↓のように、対人関係能力の総和が閾値を超えると、高い能力が発揮できるようになる。
↓のように、一方の対人関係能力が低くてももう一方の対人関係能力が高ければ、対人関係は構築できるし持続できる。
しかし、↓のように、相手の能力が普通以下だったら対人関係を構築することはできないから、高い能力は発揮できない。
つまり、特殊な能力が高く、対人関係能力が低い者がその能力を発揮できるかどうかは、相手次第、環境次第ということだ。
特殊な能力が高く、対人関係能力が低い者の戦略は3つ。
- 自分の能力を評価してくれる対人関係能力が高い人が現れるのを待つ。
- 自らの対人関係能力を向上させる
- 自分の能力を評価してくれる対人関係能力が高い人を探す。
1. 自分の能力を評価してくれる対人関係能力が高い人が現れるのを待つ。
この戦略は対人関係を自分から開始しない受け身だから成功するかしないかは運次第だ。戦略が無いとも言う。 過去の自分を考えるとこの戦略だったような気がする。
2. 自らの対人関係能力を向上させる。
能動的に対人関係を開始するところが1の戦略とは根本的に違う。
高い能力を獲得する必要はない。 許容値に入ればよいのでHowTo本を読んでできそうな項目から始めてみるとか、人と会話する機会を増やすなど。 (世間話の難度は高い)
経験では、部外の人と話す機会を増やすために技術系の展示会に行って世間話の訓練をしたら、名刺交換してもらえるくらいなった。
3. 自分の能力を評価してくれる対人関係能力が高い人を探す。
この戦略も能動的だ。 能力を評価してくれそうな人を探してマネジメントをお願いする。
当然、評価してもらうだけの能力があることが前提だ。 マネジメントをお願いできるくらいなら最低限の対人関係能力はクリアしているのかもしれない。
まとめ
特殊な能力が高く対人関係能力が低い人は 「自らの対人関係能力を向上させる」という戦略がよさそうだ。
目標とする対人関係能力は高いレベルでなくて良い。 最低限レベルをクリアすれば良いので、決して無理ではないと思う。
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