もし部下が発達障害だったら <もし自分がグレーゾーンだったら>
もし部下が発達障害だったら 佐藤恵美 ディスカヴァー・トゥエンティワン
グレーゾーンと管理職
グレーゾーンでなんとかやってきて、管理職(上司)になった人は参考になると思う。
グレーゾーンの人がこの本を読むと改めて自分の足りないところと、適応したところ(代償的機能)が分かってくる。 目立った問題が発生していないグレーゾーンの人は今の仕事が向いてるか、周りの人にサポートしてもらっているのではないか。
管理職になると向いてない仕事もやらなければならないし、サポートも受けにくくなる。 何より部下をサポートしなければならなくなる。
管理職をやる上で、他人の心情を察することができないことは致命的だ。
サポートが受けられない状況で向いてない仕事や他人の心情を察する仕事をやらなければならなくなると問題が顕在化する。
問題が顕在化したときに最も困るのは、グレーゾーンの人がクラッシャー上司化することだろう。 長く仕事をしていると一度や二度見たり聞いたりしたことがあるだろう。 部下を次々と病院送りにする上司だ。
一種の代償的機能なのかもしれない。自分が傷付かないようにすることが周りを傷付けてしまう。 階層的で縦割りの組織は管理職に権限が集中力しやすいから影響が大きくなりがちだ。
特にグレーゾーン上司とグレーゾーン部下の組み合わせの場合は双方とも相手の心情を理解しようとしないので、どちらかが健康被害に至る可能性が高い。
また、グレーゾーンのクラッシャー上司は「合理的配慮」ができない。 自らの保身を図ることはできるけれど。
佐藤恵美氏は
発達障害の特徴を持つ人は、自分自身の特徴について的確に理解することがとても大事です。「自分はこういうことにこだわる傾向がある」とか「聞き取ることが苦手だ」などを知っていることによって、いたずらに自分を責めたり、防衛的な気持ちから周囲に攻撃的・他罰的になったりすることなく、自分が最もうまく働ける方法を工夫したり調整したりする方法を見つけていける出発点になるからです。
とおっしゃる。 これは今までなんとかやってきたグレーゾーンの人にも当てはまる。
診断を受けなくても、自分にそのような気質があると認識すれば自分を客観視する際にバイアスをかけることができる。 自分を客観的に認識できれば対策ができるようになる。
もう一度、グレーゾーンと管理職
特に、管理職に求められる能力が欠けているなら、昇任には慎重になった方が良い。 「発達障害」という言葉は広まったが、誰でも無条件にサポートしてくれるわけではない。
組織は人を正確に判定しているわけではない。特定分野で高い能力を持っている人が、周囲のサポートを受けて成果を上げた場合、サポートを受けた能力までも高いと誤認されることは多い。
管理職に必要な能力のサポートを受けた人はサポートが無ければ管理職に必要な能力が足りない。 当然のことだが、管理職に必要な能力が足りなければ業務に支障が生じる。
しかし、自分の能力を客観的に認識していれば、足りない能力を補ってもらうことができる。 補ってもらうのは、上司であったり、同僚であったり、部下であったりだ。
能力を補ってもらった場合、世の中はギブアンドテイクだから、少なくとも補ってもらった分は得意な分野で貢献しなければならない。
その覚悟が無いなら、管理職にはなるべきではないと思う。
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