蜘蛛の糸
ようやく座れた電車の座席でうとうとしながら蜘蛛の糸のことを考えていた。
芥川龍之介の「蜘蛛の糸」誰でも一度は読んだことがあるだろう。あの蜘蛛の糸だ。
蜘蛛の糸は縁のことらしい。 地獄から脱出できた人とできない人の差は半端なく大きい。 でも蜘蛛の糸を登れるかどうかの差は極々わずかなのだろう。
昔蜘蛛の糸に掴まったことがある。
地獄にいた訳ではない。ようやく見つけた居場所だった。
登ると違う世界が開けていた。
他に掴まっていた人を蹴落としたりはしていない。そもそも人に興味がないので誰が掴まっていたのかさえわからない。
違う世界は楽しい。普通にしていなければならないことを除いては。
ある日偶然通りかかった路地で何気なく塀の隙間を覗くと下の方に昔いた世界が見えた。そこには昔の自分がいるではないか。 相変わらず駄目な男だ。
しばらく見ていると昔の自分ではなく、自分に似た男だと気がついた。
偶然、蜘蛛がいたので糸を貰って自分に似た男に垂らしてみた。
すると、閻魔様に見つかったらしく使いの木偶がやってきて、今すぐ蜘蛛の糸を切ってその男を地獄に落とせと言う。 なんでも、その男は昔、閻魔様に無礼を働いたことがあるらしい。
相手が閻魔様でも理不尽な指図をされる筋合はない。
使いの木偶では話にならないので閻魔様に会いに行くことにした。
訴えた。蜘蛛の糸を登った自分が糸を切ったらカンダダと同じではないかと。
その男が蜘蛛の糸を掴むかどうかはわからない。掴んだとして登れるかどうかはお釈迦様ではないのでわからない。 無事登れても閻魔様には許してもらえないだろう。
閻魔様は仰る。一生その男の面倒を見るのかと。
全ては偶然だ。偶然昔いた世界を覗き、偶然その男を見つけ、偶然蜘蛛がいた。全ては偶然だ。
などと、訳の分からないことを言っていたら、電車が止まるときにの揺れで目が覚めた。 3つ先の駅だった。
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