☆ 黎明期の行動を無批判に真似てはいけない。
☆ 真似るべきは、成長期、成熟期に忘れてしまった、黎明期の行動指針だ。
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最近サービスの「品質」と「納期」について考えている。 製品のライフサイクルは、導入期、成長期、成熟期、衰退期と言われる。製品だけでなくサービスも同じだろう。
導入期 (黎明期)は「納期」を意識していなかったという仮説を立てて、知人に意見を聞いたら、黎明期を経験した人は、当時も「納期」を意識していたと言う。 しかし、黎明期を美化しすぎるのではないかと思う。
黎明期は成熟期より良かったわけではない。 製品は販売されていないか高価なことが多かったし、情報も少なかった。 人や金などのリソースの割り当てが少ないことも多かった。
リソース不足は工夫と熱意で補うしか方法は無い。 ときに給料以上の負担をしなくてはならないことがあるけれど、黎明期から普及期を乗り越えて成熟期にすることができれば達成感は感じられた。
成熟期は言い換えれば停滞期だ。そして気がつけば衰退期になっている。
停滞期、衰退期になっていることに気づいたときに、黎明期を知っている人は、組織が変わったことや担当者の気質が変わったことに原因を求めがちだ。 ところが、よく考えてみれば、年寄りが「昔は良かった」と言っているのと同じで、言わば「三丁目の夕日症候群」ではないかと思う。
時代は変わり、環境は変わり、担当者の気質は変わっている。 そして、必ずしも昔の環境が良かったわけではない。 昔は当時の環境に対応できたが、今は現在の環境に対応できていないだけのことだ。
「三丁目の夕日陽症候群」に陥らないようにするためにはどうするか。
抽象度を上げて考えてみると良いのではないか。
黎明期が良かったのは、リソースの少なさを工夫や気合と根性でカバーしていたことではない。 多くの場合、
- 顧客第一主義であること。
- 自らの価値を向上させること
- これらの行動指針を共有すること。
これからの行動指針は、黎明期を乗り切るために必要不可欠で、個々の置かれた状況は違っても、行動指針に照らして行動していた。 その具体的な行動が、リソースの少なさを工夫と熱意でカバーすることだったのだろう。
重要なことは、これらの行動指針は黎明期を乗り切るためだけでなく、どのステージにおいても重要であるということだろう。
だから、成熟期、衰退期に「三丁目の夕陽症候群」に罹って無批判に黎明期の行動を真似てはいけない。 真似るべきは、成長期、成熟期に忘れてしまった、黎明期の行動指針だ。
行動指針と現状を考えて現時点での行動を決めればよい。それは、黎明期と同じ行動かもしれないが、多くの場合違う行動だろう。
変えてはならないのは黎明期の行動ではなく黎明期の行動指針だ。
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