専業主婦という働き方 <専業主婦に限らず昭和の価値観はリスクが大きい>
キャリコネに
「専業主婦になりたいと望むのはダメなこと?」21歳女子大生の悩みに忠告相次ぐ キャリコネ (2019/08/18)
という記事がある。元ネタはYahoo!知恵袋の
専業主婦になりたいと望むことはダメな事でしょうか?? Yahoo!知恵袋 (2019/7/5)
ぐぐってみるとこのネタは結構多い。
東洋経済にもあった。
「夢は専業主婦」と語るのはダメなことですか 無邪気な発言で職場で大ひんしゅく 堂薗 稚子 (2015/08/25)
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ざっと読んでみると、専業主婦は経済的に難しいことは、皆承知しているらしい。
実は、娘も専業主婦志望だったけど、無理じゃないかと助言したことがある。
アラ定のオヤジが「専業主夫という働き方」という観点で考えてみた。
〇結論は
- 専業主婦という働き方は、終身雇用や勤務先の安定という昭和の価値観に依存している。
- 専業主婦と言う働き方を選ぶと、配偶者は家にいないから家庭団欒が実現できない可能性が高い。
- いつの時代も、若い世代に適切なアドバイスをくれる年寄りはいない。
- この先、専業主婦に限らず昭和の価値観はリスクが大きい。
最初に断っておくけど、専業主婦という働き方が悪いわけではない。
働き方は人それぞれだから、他人にとやかく言われる筋合いではない。ただし、専業主婦という働き方は一人では決められないので配偶者と合意する必要があるだろう。
〇専業主婦とは
昔、農家や自営業では専業主婦ではなかった。裕福な家は専業主婦だったが女中を雇うなど、ワンオペではなかった。
専業主婦という働き方を簡単にいうと、現金収入と家事、育児の分業だが、高度成長期に家電製品が普及したので家事労働の負担は減っていったのでワンオペが可能になったのだろう。
オヤジが若かった頃には「寿退社」という言葉があった。女性は結婚すると専業主婦主婦になる人が多かったのだ。しかし、専業主婦になることを望んでいる人ばかりではなかった。社会が受け止められなかったのだ。
家事ワンオペの専業主婦は、昭和の高度成長期に誕生した都会の核家族に適した働き方だったのではないだろうか。そして、ちょっと前まで多くの人がこの働き方を選んでいたのは、専業主婦の方が合理的だったからではなく、雇用する側の都合ではないだろうか。
〇なぜ専業主婦?
日本の社会は高度成長期以来、長時間労働に頼っていた。従業員が家事、育児を分担していると長時間労働させにくい。家庭内で、家事、育児と会社での労働を分業してくれたら、雇用側は従業員に長時間労働させることができるので、都合が良いのだ。
従業員(多くは男性)は、家事、育児を分担している専業主婦の賃金まで稼ぐ必要があるのだが、多くの従業員は基本給ではなく、扶養手当や残業手当という基本給以外の賃金で賄っていた。
このモデルが存続できるのは、残業するほど仕事があることが前提だ。つまり、会社や社会全体が成長していることが前提だ。
また、日本人は持ち家信仰が強いので、借金をして家を買う人が多いから、現金収入を担当している男性は、専業主婦の賃金に加えて借金の返済分も稼がなくてはならない。しかし、社会が成長している間は、毎年給料が増えるから繰り上げ返済が可能で借金は負担ではなかったのだ。しかも土地価格は上昇基調だった。
ここまでは、若い人の祖父母の時代。
その後成長が鈍ってきが、残業を増やしたり理不尽な転勤を受け入れてなんとか分業を維持していた。その結果が、長時間通勤、長時間労働、休日出勤、単身赴任だ。
このモデルはもう維持できないと思い始めた頃にバブルがあって、続けることができてしまった。
このあたりは、若い人の父母の時代。
今時は、成長しなくなって久しく、さらに残業が法律で規制されるようになって、残業手当が減った今、基本給で専業主婦の賃金分の収入が得られる男性は少ない。
つまり、専業主婦は昭和の高度成長期だから可能で、現在では多くの人は経済的に難しい。
〇昭和の価値観
政府が、働き方改革の旗を振ってもなかなか働き方が変わらないのは、おじいちゃん世代、オヤジ世代が高度成長期の古き良き時代の価値観変えようとしないからだと思う。
合理的に考えて、若い世代が、昭和の高度成長期のように行動するのはリスクがかなり大きい。
例えば、
- 専業主婦
- 終身雇用
- 公務員、大企業などの安定志向
などだ。
専業主婦、長時間通勤、長時間労働という働き方を選択して、長期ローンを組んで、定年間近になってわかったことは、この選択はリスクが大きかったこと。リスクが顕在化しなくて、本当にラッキーだったと思う。この30年間、経済や技術などの環境は大きく変化したけれど、昭和の価値観をだましだまし保ってきた感がある。
Yahoo!知恵袋の相談者は家庭団らんに憧れているようだが、専業主婦という働き方を選択しても、家族団らんが実現できるわけではない。専業主婦という働き方を維持しようとすると男性は家にはいれないのだ。朝早く出勤して、子供が寝てから帰宅する。土日は疲れていて子供と遊べない。単身赴任するからそもそも家にいないのだ。
なぜ、そのような働き方を選択したかというと、適切なアドバイスをくれる人がいなかったからだ。多くの人は昭和の価値観でアドバイスするから、昭和の価値観に縛られてしまったのだ。
〇終身雇用
この先終身雇用を維持するのは難しいだろう。終身雇用は、若い間に給料以上に働いて、不足分は歳を取って受け取る仕組みだ。簡単にいうと、若い間のサービス残業分を、窓際になる歳になってから受け取る仕組みで、生涯賃金はペイする。
しかし、今時、「若い間は安月給だけど、30年先に仕事に比べて給料が良くなるから」と言われたら信じるのだろうか?
〇公務員、大企業などの安定志向
最近、大企業が大量リストラしたり、買収されたり、倒産している。日産やシャープ、東芝など、オヤジたちが40年近く前に大企業に抱いていた安定感は今はもう無い。では、googleが30年後もトップ企業であり続けると断言できる人はいるだろうか?
つまり、これから先は重要なことは、安定より環境変化への対応だろう。
〇専業主婦
終身雇用という働き方が維持できなくなった場合や、安定していると思っていたのに、リストラされたり、倒産したら、転職を余儀なくされるが、転職しても収入は増え続ける保証はない。収入を増やすためには学びなおす必要があるが、収入のすべてを配偶者に依存している専業主婦という働き方の場合、配偶者が学びなおしている間は無収入になる。
つまり、専業主婦という働き方は安定した収入があることが前提だ。ところが、昭和の価値観では安定収入の条件だった終身雇用や公務員、大企業での勤務に長期間の安定を求めるにはリスクが大きい。
〇まとめ
最初に書いたたように、専業主婦が悪いわけではないし、配偶者と合意すれば可能だ。
昭和を30年、平成を30年生きてきた経験では、これから先の時代を昭和の価値観で生きるのはリスクが大きいと思う。では、どのような価値観が良いのかと尋ねられたら。
ハッキリ言って、先のことは分らない。歳を取っているから先のことが分かるわけではない。
- 10年先は10年前と同じではない。
- 10年先は10年前からの変化の先にある。
と考えれば、昭和の価値観に捉われた年寄りのアドバイスをあてにしなくてよくなる。
〇結論
- 専業主婦という働き方は、終身雇用や勤務先の安定という昭和の価値観に依存している。
- 専業主婦と言う働き方を選ぶと、配偶者は家にいないから家庭団欒が実現できない可能性が高い。
- いつの時代も、若い世代に適切なアドバイスをくれる年寄りはいない。
- この先、専業主婦と言う働き方に限らず、昭和の価値観はリスクが大きい。
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