転職の思考法 <専業主婦と住宅ローンは転職の自由を失う>
転職の思考法 北野唯我 ダイヤモンド社
昭和の価値観に対するアンチテーゼだ。
コンサルタントとして登場する黒岩仁が、転職を考えている会社員の青野に転職の考え方をレクチャする物語として描かれている。黒岩仁がレクチャする内容は、著者の北野唯我氏の考え方だが、物語の登場人物の言葉として記述することで、受け入れやすくなっている。
いつでも転職できるような人間が、それでも転職しない会社。それが最強だ。そんな会社だけが今の時代を生き残れる。
と黒岩仁が語る一節がある。
確かにそうだ。
能力が高い人がいて、なぜ転職しないのか直接訊いたことがある。その人や部門が成長していているときの仕事のおもしろさは、給料には変えられないようだ。つまり金のために働いていない。逆に言えば、金のために働いていない人は、おもしろい仕事がなくなったら転職してしまうのだろう。
この物語で転職しようとしている青野は30歳で独身だから、金のために働らかなければならないという制約がない。経験では、家族を扶養していたり、多額のローンを抱えていると、金のために働かざるをえないと考えたことがある。しがみつこうとするのは心の弱さだ。
能力が高く、金のために働かなくてよい人は、おもしろい仕事がなくなれば転職してしまう。これは今も昭和の時代も変わらない。だから、昭和の価値観では、住宅を購入するために借金すること、家事労働と収入を得るための労働を分業するために専業主婦になることが良しとされた。この価値観を受け入れると、金のために働かざるをえなくなるから、能力が高い人におもしろい仕事を与えなくても引き止めやすくなる。
専業主婦と住宅ローンは転職の自由を失うことを、誰も教えてくれなかったんだよな。
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