職人技の8割は言語化できた
職人技の8割は言語化できた。職人の父vs仕組みの息子。社運をかけた親子喧嘩5年。売上は9倍に BizHint (2019/12/20)
小記事で取り上げられている東田ドライは、カンブリア宮殿でも放送していた。
「職人技の8割は言語化できた」を考えてみた。
- 職人技の言語化は難しいが、第3者が協力すれば言語化できる。
- 職人技を言語化しても、職人技を超えることはできない。
- 職人技を売りにするなら、自ら成長できる人を育てなければならない。
職人技のマニュアル化について、
東田伸哉氏は
「職人仕事」と呼ばれているものの大半は、精神的な障壁で「難しい」と思い込んでいるだけだと思います。 言語化して丁寧に教えれば、その85%は職人でなくてもできました。とはいえ、「言語化」と「教育」はとても難しかったです。
とおっしゃる。
「職人技」が「難しいと思い込んでいる」人は多い。実際のところは、やはり「難しい」と思う。東田伸哉氏が指摘するように、職人が何気なくやっている、言葉にならない暗黙知を形式知化するのは、とても「難しい」。
だから、
言語化は、職人だけに任せませんでした。 「職人が他のスタッフに教える」という機会を作り、教えられたスタッフのほうが職人の言葉や仕事を「言語化」し、マニュアルに落とし込む。それを職人がチェックする形に落ち着きました。何より、職人にしかわからない言葉ではマニュアルになりません。また一方で、「教えたらできる仕事だった」ということを職人側に認識してもらうことができました。
のように、他の人が言語化する他に方法はないのだろう。
ただし、
これはあくまでマニュアル化だ。マニュアル化は悪く言えば劣化コピーだ。
「職人技」は自然にできるようになったわけではない。職人が試行錯誤しながらできるようになったのだ。
試行錯誤には効果がある試みもあるが、効果がない試みもある。そして、覚えているのは極わずかの効果があった試みで、その裏にある膨大な効果のなかった試みは覚えていない。暗黙知はこの膨大な、覚えていない、効果がなかった試みも含んでできている。だから、形式知化が難しいのだ。
「職人」は古い技術を固くに守る頑固者のようなイメージがあるが、「一生修行」と言う職人は多い。職人の多くは、今でも試行錯誤しながら成長し続けているのだ。残念ながら、マニュアルは成長を約束するものではないから、「職人技」を超えるのは「難しい」。
経営効率を考えると、
マニュアルが劣化コピーであったとしても、多くコピーできるから、全体の生産性は上がる。しかし、「職人」しかできない仕事がなくなるわけではない。
もし、「職人技」を売りにするなら、
試行錯誤して「自ら成長できる人」を育てなければならない。そのときに言語化された職人技が役立つ。きっと、その人が次の「職人」になり、組織が持続できる。
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